2020年 今年の音楽 / Reissue

昨年から引き続きR&B/Soul系の再発は今ひとつ。ちょっと珍しいものも単発では出てくるけど全体としては盛り上がりに欠ける。再発市場は欧州の景気に左右されるものなので来年も難しいかなと言う気がする。

King Crimson 『The Complete 1969 Sessions』

1stアルバムから51年、制作時のセッションを収録した鬼ボックス。さすがにちょっとこれは…と思ったが案外楽しく聴けた。Michael Gilesの極めて特異なドラミングを堪能できるのがとても良い。
ただ、これだけボリュームあるのに"Complete"じゃないな。看板に偽りあり。"21st Century Schizoid Man"だけはほとんど収録されていない。こういうのあんまり良くないと思います。今年はPoseidonLizardも同じようなボックスが出そうな雰囲気だけど多分買わない。

Prince 『Sign O' The Times Super Deluxe Edition』

Purple Rain、1999と続いてついに名作のリリース。未発表アーカイブはファンを喜ばせる明確な意図をもった編集で非常に良い。「あの曲ってここに源流があったのか!」という驚きのポイントを用意してくれている。しっかりした監修者の存在は本当に大事。

Bill Evans 『Live At Ronnie Scott's』

Jazz音源発掘探偵団であるResonance Recordsから今年の一撃。『At The Montreux Jazz Festival』のメンバー(Bill Evans、Eddie Gómez、Jack DeJohnette)のロンドンでの1968年のライブ。以前から存在がほのめかされていたJack DeJohnette所有音源から。
相変わらずライナーノーツがとても楽しい。ただ、録音は良くないな…。既発の『Evans In England』(こちらは1969年のRonnie Scott'sでドラムはMarty Morell)よりもさらに悪く、相当クレンジングした形跡があるが、まあこれが限界なんでしょうね。
Miles Davisに引き抜かれる直前、若々しいJack DeJohnetteが聞きどころ。Resonance Recordsから出てくるBill Evans関連音源は超短期に終わったJack DeJohnette在籍時をフォローしているので非常にありがたい。

The Brecker Brothers 『Live And Unreleased』

1980年ハンブルグのOnkel Pö's Carnegie Hallでのライブ。このOnkel Pö's Carnegie Hallの音源は今年まとめてゴソッと出てきたけど元々は放送局のアーカイブのようだ。
演奏は圧倒的な迫力でハイテンションに吹きまくるMichael Breckerが素晴らしい。

Global Communication 『Transmissions』

名作『76:14』のリイシュー。Chapter Houseのリミックス『Pentamerous Metamorphosis』とシングル&リミックス集を加えた3枚組。めちゃくちゃ入手しづらかったが年末ようやく獲得。1993年、アンビエントテクノの最高峰。なんど聴いても「これは名盤だわ…」とため息が漏れていく。