King Crimson 『Starless』 5

King Crimsonの『Starless』ボックスセットの紹介第5弾。
27枚レビュー、ようやくこれで最後である。

Starless

Starless

ここまで紹介してきたCD、DVD、BDは全て三面折ケースに入っているのだがBonus Audioは扱いが全く異なり、LPサイズの台紙に型抜してCDを3枚差し込んだものになっている。各ディスクの説明もライナーノーツには記載がなく台紙に直接印刷されている。

どうでもいい余談だが、自宅で開封の儀を行った際あまりの嬉しさに勢い良くボックスの蓋を開けたらDisc 27が飛び出して行ってしまい難儀した。カスタマー・エクスペリエンスの提供とは顧客の手に商品が渡るその瞬間までを考え抜かなければいけないのだな、と一つ勉強になった次第。

Disc 25 Bonus Audio 1

1973-10-06 University Of Texas, Arlington, TX

  • DGM Liveで既発。若干だがノイズを軽減している。
  • 『Starless』ボックスセット以前、北米ツアーでの姿である。
  • 未完成の感がある"Fracture"や"The Night Watch"などを聴いていると、実のところこのボックスセット収録の1973年秋と1974年春の欧州ツアー、楽曲は随分練りこまれた状態であったことを再認識する。
  • 3年連続の大容量ボックス・セットだったが、カオス感たっぷりの『Larks' Tongues In Aspic (The Complete Recordings)』、破滅の予感溢れる『The Road to Red』と比較すると鑑賞物としてはお買い得なセットと言うこともできる。
  • が、やはり腐っても27枚組。客観的に見るとインプロを除けばせいぜい10曲程度のレパートリーをひたすら繰り返しているのである。こんなものは狂ったマニアだけが買えば良いと心の底から思う。

Disc 26 Bonus Audio 2 - Audio Curios

1973-10-06 University Of Texas, Arlington, TX

  • Disc 25の続き。
  • Bonusの割にはフルステージ。

1973-06-23 Richards Club, Atlanta, GA

  • DGM Liveで既発の音源から"Doctor Diamond"のみを1曲だけ。
  • 元々音質の悪い音源で冒頭は撚れてしまっている。
  • この時期のアレンジは1974年春とは細かい部分で結構異なっていることがわかる。

1973-11-15 Volkshaus, Zurich, Switzerland

  • Disc 5-6はオフィシャル録音されたものがベースになっているが、先述の通り今回"The Mincer"は『Starless And Bible Black』版に差し替えられてしまっている。
  • こちらはBootlegから"The Law Of Maximum Distress"全体の何も手が加えられていない録音を収録。
  • 音質は悪く、史料的価値を取るか鑑賞物としての商品性を取るかというところだろう。

1973-03-30 Elzer Hof, Mainz, Germany

  • Disc 15終盤部分をBootleg音源でフォロー。
  • 常に途中で切れてしまう"Fracture"をフルで収録し、次曲"LTIA2"まで収めている。ここまで我慢した信者のためのご褒美である。
  • 演奏には何の不満もないどころか大満足だが、音質は悪い。

Disc 27 Bonus Audio 3

1974-03-19 Palazzo Dello Sport, Udine, Italy

  • DGM Liveで既発。
  • 上述のマインツとは逆に、Disc 7で終盤しか収録されていなかったウディネの前半というか大部分。
  • アルバム未収録曲"Guts On My Side"が演奏されているのがこちらの公演。
  • この日しか演奏されなかったと言われている通り、実際イマイチな曲ではある。
  • これも音質は良くない。

Bonus MP3

1973-11-03 Jahrhundethalle, Frankfurt, Germany

  • なかなかレビューのような場で紹介されることがないと思うのだが、ボックスセットの内容物として記録しておく。
  • 初出音源。
  • ボックスセットには当時のメモやポスターの縮小版など、紙の付録がゴチャゴチャ付いているのだが(実はこうゆう「モノ」にあまり興味がない)そのうちの一つ、当時のチケットの縮小版にダウンロードURLが記載されている。
  • 2010年の『Larks' Tongues In Aspic (The Complete Recordings)』にも同様の音源ダウンロードがあったのだが、あれほど凶悪な音質ではない。
  • オーディエンス録音のBootleg音源とはいえそれほど音質は悪くないのでCD化しても良かったのでは?と少々思うものの、近くにいる観客の咳が冒頭からかなり気に障る。11月のフランクフルト、確かに風邪を引きそうなので40年前のこの人の体調が心配である。
  • そもそも観声のレベル落としはデヴィッド・シングルトンの得意とするところだと思うのだが、特に処置なし。
  • "LTIA2"の中間部でブツンと切れてしまうが、27枚のディスクからここまで聞いてきたのであればもはや慣れたものであろう。信仰が完成する瞬間がここにある。