2014年 今年の音楽 / Reissue

今回は大きくRock、R&B/Soul、その他に分けた。

Rock

King Crimson 『Starless』

27枚組というあまりの物量...
詳細は以下の通り。

Yes 『Relayer』 (1974)

Relayer (CD+Blu-Ray)

Relayer (CD+Blu-Ray)

The Yes Album』と合わせてこれもSteve Wilsonのリミックス仕事。よく働く男である。
Bill Bruford脱退後のYesには特に思い入れがないのだが「The Gates Of Delirium」とか自分でも意外なぐらい曲を覚えているものだと思った。
しかし、Steve Wilson好きとはいえ全部のリミックス仕事を押さえるつもりはないので、そろそろ『Fragile』をやってくれないものだろうか。

Led Zeppelin 『Houses Of The Holy』 (1973)

Houses of the Holy  [DELUXE EDITION 2CD]

Houses of the Holy [DELUXE EDITION 2CD]

実はZepにもそれほど深い思い入れがないものの、格好良さはわかるつもり。
学生時代にZepのCDを聴いたときには音が悪すぎたので全く聴き返さなかったのだが、今回のリマスターではるかにクリアになり、ようやくIからまともに聴くようになった。
Bluesを換骨奪胎してHard Rockに仕立て上げたことこそJimmy Pageの最大の功績だと思うのだが、「Blues以外の何か」に向かっていった本作以降のZepの方がスリリングである。
Reggae(のパロディ)の「D'yer Mak'er」やFunk(のパロディ)の「The Crunge」も面白いが、「No Quater」こそ白眉。
今回改めて聴いていて今更ながら気がついたのだが「No Quater」はプログレのパロディなのだろうか。

It Bites 『Eat Me In St. Louis』 (1989)

イート・ミー・イン・セントルイス+5(紙ジャケット仕様)

イート・ミー・イン・セントルイス+5(紙ジャケット仕様)

些か唐突な感があるIt Bitesの再発。初期作はちょっとポップすぎて体が受け付けないので本作を。

R&B/Soul

AtlanticのカタログからのReissue、中には地味ながら珍しい初CD化もあり1000円という安価な価格設定も良かった。膨大なカタログの全てがCD化されているわけではなく、今年もこのシリーズ続くといいなあ。
一方でFunky Town GroovesやVinyl Masterpieceのような欧州のReissue専門レーベルの動きが鈍化気味なのはちょっと不安なところ。

ADC Band 『Roll With The Punches』 (1982)

ロール・ウィズ・パンチズ

ロール・ウィズ・パンチズ

デトロイトのファミリーバンドの最終作。これと1stの『Long Stroke』がCD化された。
Johnnie Mae Matthews(オカン)がプロデュースしていたP-Funkワナビーな1stも面白いが、FatbackのBill Curtis & Gerry ThomasをProducerに迎えた本作も80年代初期のファンクという感じで良い。

Sedan 『Sedan』 (1985)

セダン

セダン

この1枚であっさり消えてしまったオハイオの3人組ボーカル・グループ。
この手のサウンドが好きな人にはたまらない、80年代中期のサウンドとマニッシュなボーカル・ワークが素晴らしい。

Stephanie Mills 『Sweet Sensation』 (1980)

スウィート・センセーション

スウィート・センセーション

1980年リリースの4作目。少なくとも90年代に入るまでメジャーで活躍していた息の長いシンガーだが、一番良かったのはJames Mtume & Reggie Lucasが関わったこの時期ではないか。

Tease 『Tease』 (1983)

Tease

Tease

1988年作の『Remember』もReissueされたがあちらは以前にもCD化されていたので、比較的珍しいこちらを。Ollie E. Brownがプロデュースした1stで、しなやかな演奏が瑞々しい。

Rose Royce 『In Full Bloom』 (1977)

バラの妖精

バラの妖精

おそらく20年ぶりのCD化。Motownを辞めたNorman Whitfieldが全力を傾けた秘蔵っ子バンド。
名曲「Wish On A Star」を含む実質的な2nd。続く3rd、5thもこのシリーズでReissueされた。
改めてじっくり聴いてみると演奏力の高さに舌を巻く。

Rafael Cameron

CAMERON'S IN LOVE +4

CAMERON'S IN LOVE +4

南米ガイアナ出身のボーカリストSalsoulからの2nd。Cameron名義の1stも同時期にReissue。
Brass Construction/SkyyのRandy Mullerが手がけており、そういうサウンドである。

Xavier 『Point Of Pleasure』 (1982)

Point of Pleasure

Point of Pleasure

これ1枚で消えたコネチカットのファンクバンド。
George Clinton & Bootsy Collinsをフューチャーした「Work It To The Death」が有名だが、改めて聴いてみると制作に加わったRahni Harrisの色が濃く「Dial The Love Man」のようなバラードの出来が良い。
ちなみにラストを飾る「Love Is On The One」はMichael Jackson「Off The Wall」の丸パクリである。

Fonzi Thornton 『The Leader』 (1983)

The Leader

The Leader

Luther Vandrossを支えたボーカリストの1st。奇才Robert Wrightとの共同プロデュースだが各曲にBernard Edwards & Nile Rogers、Ray Chew、KashifなどNYサウンドの立役者達がアレンジで参加している良作。

その他

Fusion類やジャンル分けが難しいものなど。

高中正義 『Nail The Pocket』 (1990)

NAIL THE POCKET

NAIL THE POCKET

  • アーティスト: 高中正義,Alex Brown,Donnell Spencer Jr.,Rod Antoon,チャーリー・ウィルソン,Kaliq O.Vison,Freddy Boy,ウンドゥーグ,Ralph Morrison III,Richard Altenbach,Denyse Nadeau Buffum
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2014/06/18
  • メディア: CD
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プロデュースにRod Antoonが参加した異色作。いわゆるジャパニーズ・フュージョンのカラーは全くない。
FusionとSoul/Funkの愛好家は被らないせいかほとんど知られていないと思うのだが、4.「Give Me A Chance」でリードを取っているのはGap BandのCharlie Wilsonだったりする。バブル期のジャパン・マネー恐るべし。

高中正義 『One Night Gig』 (1991)

ONE NIGHT GIG

ONE NIGHT GIG

  • アーティスト: 高中正義,マクシーン・ルイス,アル・マッケイ,ウォーネル・ジョーンズ,キャット・グレイ,TAKASHI NUMAZAWA,カール・ペラッゾ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2014/06/18
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上記『Nail The Pocket』期のライブ。バックは13CatsとAl McKayが参加しており実際そういうサウンド。『Nail The Pocket』とともに主役のギターはそれほど目立たず、この路線がこれっきりで終わったのも納得である。

David Sanborn 『As We Speak』 (1982)

意外にも長らく廉価版のReissueがなかったDavid Sanbornの初期作。
ずっと東海岸で活動して来たDavid Sanbornが初めて西海岸で録音した作品。
Marcus Millerを始めとしたこれまでのバンドメンバーも参加しているが、NYベースのミュージシャンが
West Coast Soundに染まっている違和感は確かにあり、一方でSanbornがソウル野郎から一歩踏み出した瞬間というスリルもある。サウンドがソフトなせいでわかりにくいと思うが、ちょっとした冒険作である。
再びNYに戻って制作した次作『Backstreet』も必聴。

Jesse Rae 『The Thistle』 (1987)

Thistle

Thistle

P-Funk関連のSpace Cadetsからキャリアをスタートし90年代にはOn-U Soundに在籍していた不思議なスコットランド人の有名なアルバム。
ボーナストラック山盛りのReissueで、本作以外にレアトラック集などもリリースされた。
こちらのアルバムはRoger TroutmanのProduceだがZappサウンドはほとんどなし。ボーナストラックを聴いている限り、元々デモ段階であらかた完成しており完パケをRogerが担当したのかなという感じ。ちなみにこのReissue盤では亡きTroutman兄弟への謝辞が記されている。
Zappファミリー以外にもNY系の名だたるミュージシャンが参加している割には、それほどファンキーではないしポップかというとそういうわけでもない。カテゴライズの難しい音楽で、世間一般の評価はともかく冷静に見て珍盤の類だと思う。
闘士のコスプレに身を包むJesse Rae、今年のスコットランド独立運動をどのような想いで見ていたのだろうか。

Prince 『Sign "O" The Times』 (1987)

殿下唯一のヒット映画のニューマスター版。口パクの疑似ライブであったことは今回初めて知ったのだが、この完成度を追求する姿勢が他の映画に対しても発揮されていればな...
どう聴いても今年の新作2枚よりもこちらの方がクオリティは高い。そういえば『Purple Rain』の30周年記念盤ってどうなったんだろう。