2022年 今年の音楽 / 新譜:Jazz

Makaya McCraven 『In These Times』

昨年に続き今年のトップバッターもMakaya McCraven。演奏もエディットもすべてが平等なんだけど例えばこれがHip Hop的な音像なのかというとそうとも言えず。しかし2020年代のJazzであることは断言できる空気感。


Julius Rodriguez 『Let Sound Tell All』

Verveから突然登場したドラムも叩くピアニスト。鮮烈という表現がよく似合う演奏で随分繰り返し聴いた。

Immanuel Wilkins 『The 7th Hand』

最近よく名前を見るようになったアルトプレーヤーの怪作。そもそも曲が難解なのはこの世代の共通点としても、最後の1曲だけ唐突に異なる曲調でしかも長かったりこれが2022年のBlue Noteか…とは思った。でもすごい面白いアルバム。

Harish Raghavan 『In Tense』

これまたNYシーンの重要ベーシストの2作目。より一層難しくなっているんだけどこちらも慣れたせいかすっと聴けてしまう。いまのNY本当に面白いなあ。

Robert Glasper 『Black Radio III』

そのNYを離れて西海岸に引っ越しちゃったRobert Glasperの新作。今さらだけど本作でようやくこの人の凄さを理解できたような気がしている。Black RadioシリーズはそもそもJazz的な音響ではなかったけど、ここではもはやJazzでもHip HopでもR&Bでもなく、広くポップミュージックだなあと。

Snarky Puppy 『Empire Central』

バンドの原点であるダラスの音楽シーンに回帰した新作。やっていることそれ自体は大きく変わらないし前作『Immigrance』の方がチャレンジングだったと思うが、こちらの方がひとつのバンドが鳴らすグルーヴとしてしっくり来る。

Portico Quartet 『Monument』

Portico Quartet大好き。こちらのEPも相変わらず最高。"Terrain"のスタジオライブも良かったな。

Svaneborg Kardyb 『Over Tage』

ピアノとドラムのユニット新作。Electronics強めだけど静かで激しい今のUKジャズを感じさせてくれる。Porticoと同じくこれもGondwanaから。他にはSunda ArcとかVega Trailsとか今年のGondwanaからのリリースは良作ばかりだった。

Mark Guiliana 『the sound of listening』

年初にリリースした『Music For Doing』はビートのスケッチ集という雰囲気だったけどEdition Recordsからリリースしたこちらは間違いなく名作。冒頭に紹介したMakaya McCravenとはまた異なるアプローチで演奏とエディットが共存している。技術面では間違いなく世界トップレベルのドラマーだと思うがそのテクニックもテクニック外の要素も全部平等に配置されている素晴らしいアルバム。